2009年10月30日

なんでも屋の隣人

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中庭からつながるガレージの裏側。二階部分が車庫になっている

『赤いティーシャツのムッシュー、ちょっと家具と空』
『カンパーニュでは木が落ちる!』
『近所づきあい』 のつづきです。


トラックの運転手といっしょに、スクーターの入ったどでかいダンボール箱を家の門のなかにひきずりいれることになんとか成功したわたしたち。
トラックを見送ると、マーセルはさっさとダンボールをほどきはじめた!

なかには、鉄でしっかりとつくられた骨組みのなかにわたしのバイクが!
・・・しかし。うん?待てよ。ハンドルはどこ?グリップは?なんだか中にはバイク以外にえらく小さい箱がいくつも入っていた。
マーセルは、ハハ〜ンと鼻を小さく鳴らしたあと、「ドライバー」とわたしにいいつけた。
「バイクの組み立てってできる?」と、インターネットで注文する前に心配そうに聞いていたセバの顔が頭に浮かんだ。わたしは若いころ、日本でスクーターに何度か乗っていたことがあるが、買うたびにそれは完璧なかたちでそのままエンジンがかかるようになっていた。まさか自分で組み立てるところがあるなんて考えてみたこともない。
いそいそと、すこし前に買った工具箱をとってくると、彼は鉄の骨組みをドライバーを使ってばらばらにしたあと、こんどはバイクのハンドルを取り付けにかかった。
箱のなかに入っていた説明書はなぜか英語。フランス語のものはなく、バイクとネジ、ハンドルなどを交互にじっと睨みつけるマーセル。
わたしの持っていた工具だけでは足りなかったようで、道路を渡って自分の電動ドライバーなどをとってきたあとは話ははやかった。彼はバイクの荷台につける小さい荷物入れも取り付け、その間、自分はいかに長い間バイク乗りだかをわたしにひっきりなしに説明した。
よし、完成。バイクのエンジンをかけてみる。しかし、プスプス・・・という小さい音がしただけでエンジンはかからない。
「バッテリーを充電しなきゃね。うちに充電器があるから」
彼はいま取り付けたばかりのバッテリーを再度取り外し、自分の家のガレージに持って帰った。

夜、セバにマーセルが帰ってきたことを話すと、彼はさっそく、何度か使ってそれから動かなくなってしまった芝刈り機をマーセルにぜひ披露したいと申し出た。いくら検査のための入院とはいえ、病院から帰ってきたばかりだから・・・とわたしは言ってみたが、そんなことは誰も気にせず、マーセルはうちの中庭でなぜ芝刈り機のエンジンがかからないのか、おかしいところをチェック。「疲れてないの?」と聞くと、「だれ?僕かい?いままでの人生、一度も疲れたことはない」と言い切るマーセル。結局彼は病院から帰ってきてからずっとうちにいて作業をしていたのだった。

次の日。
ピンポ〜ン♪とチャイムが鳴った。みると、マーセルがうちの車庫の前で腕組みをして考えこんでいる。
車庫は道路に面していて、家のすぐ左脇の別棟にある。門は鉄でできており、家を囲っている鉄の柵と同じ唐草模様、それじたいはとてもいいものなのだが、なにせ古い。この家が建てられてから一世紀経っているならば車庫もまたしかりであり、車庫の扉を覆うように屋根からしっかりと大柄な蔦が根をおろしている。その蔦が多すぎて、扉が開かない状態。
車庫じたい、車がせいぜい一台入る大きさだし、夏だったし、で、うちは車をずっと外に停めていたのだった。
わたしが門の外にでていくとマーセルは、「きみのバイクを入れないとね」といった。・・確かに、わたしのバイクは一晩、家のなかにいれて玄関に駐車していた・・・。
彼は、大きなはしごと木の枝などを切るようの大ばさみを持ってきて、はしごに登り、ちょきちょきと蔦を切りはじめた!
わたしはすごい勢いで山になっていく蔦をほうきで掃きあつめ、彼は車庫の扉を開けることに成功した。
扉を開けてみると、こんどは中。高い天井はここぞといわんばかりに古いクモの巣のオンパレード。「そうじ」とマーセルに言われて、わたしは青くなった。わたしは声を大にして言うが、虫が大の苦手である。小さいときはそりゃトカゲの尻尾を切って遊んだこともあるし、クワガタなんかを買ってかわいがっていたこともあったけれど、それは昔の話。そのへんは今はぜんぶリラさんの担当になってます。
ほうきを片手に恐ろしくて固まっていると、マーセルはわたしのほうきを奪ってさっさとクモの巣を払いはじめた。それをみていたら、ハッ、じぶんの家の車庫で、いつまでもクモの巣をにらんで固まっているわけにはいかない、とわたしも思い立った。もう一本ほうきを取ってきて、下のほうの、ホコリだかクモの巣なんだか灰色でよくわからなくなっている部分をわたしはなんとかそうじした。

30分後にはなんとまぁ車庫の空気も入れ代わり、なんとか使えるように!わたしは頭や肩にゴミをつけているマーセルを発見してそれを払った。これでめでたくバイクに・・・!と思った矢先、まだまだ問題が!
「事故保険に入らないとね。ナンバープレートもつけないと運転できないね。それからヘルメット!かぶらないと手錠かけられるからね」と右から左から隣人のありがたい忠告を日々受けながら、しかしすこしずつわたしの田舎での自立の日々が近づいてきた。

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わたしのスクーターを試し乗りするマーセル。大きいバイクに乗っている彼には少々物足りなかったよう

その週末には、うちの隣に住むナンシーの家のさらに隣の住人がきた。
彼らはパリジャンでここの家を別荘にしている。週末たまに一家でぞろぞろと来るようなのだが、初お目見えして、天気がよかったのでマーセルはバーベキューを提案。パリジャン(とみなに呼ばれている)の家の庭には大きいテーブルと椅子がたくさんあるということで、ナンシーはお肉を用意、うちはデザート、マーセル家はワインなどお酒の用意、パリジャンはサラダとアペリティフ、それぞれ分担して、みなで楽しい一夜を過ごした。

頭髪が真っ白、髭も真っ白なマーセルを、わたしとセバさんは勝手に“おじいさん”(失礼)と読んでいたが、実は彼は60歳ですこし前に仕事を定年したばかり、というのが明らかになったのもこのころだった。
5年前までやはりパリジャンだったナンシーの、古くてどうしようもなかった家を見事に修復したのもマーセルの偉業。パリジャンの家の外壁のペンキを塗ったのもなんとマーセルらしい。

まぁ、そんなこんなで、周りとのつきあいがスタートしていったわけです。


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2009年10月26日

モノトーンのパリと新顔の家具

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先週末は、用事があって二日ほどパリに行っていました。
こちらはコンコルド広場で見かけたカップル。


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パリでもすこし紅葉がはじまっていましたが、残念ながらあまり写真を撮れる時間がなく、すこし買い物をしながらパチパチと歩いている人を隠し撮り。


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オペラ座の近くでは、いかにもパリジャンぽいカップルや


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子供を連れた観光客の姿


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メトロにもすこし乗りましたが、おしゃれなパリジャンヌは、今の時期、黒いタイツにブーツという姿の人が多かったようです。
わたしはもうすっかり田舎の人になったのか、前からだったのか忘れてしまいましたが、ついパリジェンヌのおしゃれな装いに見とれていました。



ノルマンディーに引っ越してからも、なんのかのとパリに用事があり、ちょくちょく出かけている気がします。
いま住んでいるところとパリでは、また人々の感じがちがってやっぱり都会。そしてパリはグレーの建物に道ゆく人の黒い格好で、なんだかシックな感じがしますねー。
こんどは冬の装いをしたパリの顔がみれるかな。


あ、そうそう、久しぶりに行ったアンティーク店で居間用のテーブルを買いました。


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天板が大理石で、足は金色。かなり古いものでしょう。
わたしはちょっとやりすぎでは・・・(というかデザインが古い?)という気がしたのですが、実はこれ天板が一箇所パキッと割れており、それを修復して売っていたため、値段が破格。
どちらにしても居間にテーブルがなかったし、セバさんが気に入ったようで即決。

パリから家に帰宅すると、こんどは隣人のマーセル家からうれしいオファーが。
使っていない肘掛け椅子が2脚セットであるのだが、引き取らないか?とのこと。
なんでも、アンティーク店に委託して売りにだしていたのだが、大きすぎて誰も買わないで戻ってきてしまったよう。


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この椅子なんですが、ひとり掛け用にしては確かにゆったりしていて、幅が1メートル近くあります。
しかし木の部分はコナラの一枚板、そして革張り。スペイン製だとのことで、これはめちゃくちゃ値が張ったことでしょう・・・

うちは椅子やソファーがまだまだ足りないし材質もいいため、よろこんで引き取ったのですが、聞いても聞いてもいくら払ったらいいか教えてくれません。
このまま言わなかったら、いくらか包んで強制的に手渡すしかないでしょう・・・


この日曜日からこちらはサマータイムが終わり時計の針が一時間前に戻りました。
先週までは、朝起きるとまだ暗かったものですが、今朝は7時に起きるともう太陽がのぼっていました。
ここから3月終わりまで、しばらくは日本との時差が一時間増えます。
まぁ、そんな感じの週末でした。


posted by ナオカ at 16:10| Comment(4) | TrackBack(0) | パリを散歩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月21日

川に棲むお友だち?

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ある日のリラさん 庭でお散歩中


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あっリラさん 鴨さんだよ〜


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あ リラさん 向こうに白鳥もいるよー


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持ってきたパンを 鴨さんにあげてみようか〜


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あれ


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白鳥さんが


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こっちに
(ガサゴソ・・・ ←パンをちぎる音


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はい、みあってみあって〜


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なんだこの 大きいの


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白鳥さんは いっしょうけんめい パンを食べています


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なんか ヘンなもの見た気がする


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すごいなー 人間が怖くないんだなー ・・・て、あれ リラさんどこ?


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ちょっとリラさん そっちで穴掘ってる場合じゃないよ


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パンがなくなると、水中に顔を突っこんで小魚をさがして食べているようです
ちょっとリラさんてば


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・・・だってなんか怖いし


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まぁリラさんよりカラダも大きいからしょうがないか
パンをうらやましそうに遠くから見ていた鴨さんたち
こんどはパンあげるからね

posted by ナオカ at 14:25| Comment(8) | TrackBack(0) | リラさんとその仲間たち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月19日

近所づきあい

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うちの中庭から塀を隔てた隣の中庭


『赤いティーシャツのムッシュー、ちょっと家具と空』
『カンパーニュでは木が落ちる!』 のつづきです。


さて。
うちの家の鍵を持っているという白髪・白髭のムッシュー・マーセルの奥方にも会い、懇意になってきたところで、そのへんを歩く姿をぱたりと見せなくなったマーセル。
どうしたのかなー?とは思っていたが、うちもまだ引っ越してきたばかりでまだばたばたしています。すると、うちのすぐ右隣の家がバカンスの旅行から帰ってきたよう。わたしたちは好きな店のマカロンを持って、さっそくあいさつにでかけた。
すると、次の日。ピンポ〜ン♪と夕方、門のチャイムが鳴った。もしや?!と思ってでてみると、お隣の奥さんが立っていた。
「マカロンどうもありがとう。とってもおいしかったわ。わたしはナンシーっていうの。ところで今週の金曜の夜は家にいる?」
お隣は子供がふたりいる。土曜は子供の学校がない日で夜遅くなっても平気なので、金曜の夜軽くアペリティフを飲みに来ないか、との誘いだった。
わたしたちはいそいそと金曜の夜お隣へでかけた。隣の家は、うちのようにふる〜いタイプの家ではなく、モダンな造りで、外壁はうすいピンクで塗られている。
奥さんのナンシーは43歳、ブロンドの髪に小粋なブルーの細い金属縁のめがねをかけている。ご主人は今年52歳になり、フィリップという。白髪がちらほら混じったダンディーな感じはなんとあの俳優、ジョージ・クルーニーにも似ているではないか!彼らには、アーノという11歳の男の子、そしてリナという5歳の女の子がいる。
ご主人はダンディズムだし、リナは5歳ながらも脚がスッと長く、子供ながらにスタイルのよさに圧倒されながら、彼らは飼っている4匹の猫の紹介もしてくれた。そのなかには、うちの庭ですでに見かけていたロシアンブルーの大柄な猫、そして3本脚の茶色い縞模様の猫の姿も。
「あと2匹はまだ仔猫だから、塀をジャンプしていけないんだけど、そのうちそっちの庭にきっといけるようになるわ」
とナンシーはけたけた笑った。わたしはかわいい2匹の仔猫を前に、うれしいんだか、はたまたリラさんの怖がりっぷりを考えるとう〜む、とうなりたくなるような複雑な気持ちになった。
みなでキッチンの丸いテーブルをはさんで、ロゼ・ワインと簡単な軽食をいただいた。わたしとセバは、うちに倒れてきた木の話をしなければ、あの木はこの人たちの家のものだ、とマーセルから聞いていたし、しかしせっかく朗らかなムードでみなワインを手にしているところで「あんたんとこの木が倒れてきたんだけどね・・・」と言い出すのも忍びない。


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隣とそのまた隣の家の庭 真ん中にある小途で区切られているらしい


そうこうしているうちに、話はマーセル家の話題へと。
「あそこの家は奥さんがとってもやさしくてね、旦那さんにもずいぶんといろいろ助けてもらったわ」とナンシーは言う。聞いてみると、彼らは4年前、ベルサイユからここに引っ越してきたそうだ。ベルサイユというと、わたしたちがこの間住んでいたところと同じ地区。都市の小さなアパートから突然ノルマンディーの一軒家に引っ越してきて右も左もわからなかった、というのは今のわたしたちの状況だ。なるほど・・・と親しみをおぼえてきたところ、
「マーセルはいま入院してるのよ。彼は糖尿病だから、年にいちど2週間ぐらい入院して検査してるの」
そうだったのか・・・。いまは検査のため入院しているからこのところ姿を見かけなかったのか。
「あの人はほんとによく飲むからねぇ」とダンディーなご主人・フィリップもしきりに頷く。
マーセルの話がでてきたので、ここがチャンス!とばかりにわたしとセバは目くばせをして、うちに倒れてきた木の話を切り出した!
するとあっさり、
「倒れた木は、うちの木じゃないのよ」とナンシーは言う。
ええ?じゃあどこの木ですか!
「あれはね、うちとあたなのとこの家の木の間にある市道の木。今はその市道は門が閉められていて誰も通らないけど、川まで通じていて行けるようになってるの」
ということだった。倒れてきた木は大きいし、さらにわたしたちの家の柳の木をへし折ったので、庭には枝や幹やら葉っぱやらの残骸がまだうず高い。これを切って処理するには人手と、大きな電動ノコギリなどが必要だ。
市道ということになると、こんどは市役所に行かなくてはならない。

***

うちは、いちおう街の中心街にあり、駅までは歩いて10分、市役所も徒歩5分という近さである。が、ちょっとした買い物に行くとなると、坂があったりするので、徒歩や自転車だけというのもきつそうだ。わたしは50CCのスクーターを注文していた。
フランスでは、フランスに引っ越してきて一年以内に日本の運転免許証を届けでればフランスの免許証と交換してもらえる、と規則があるのだが(その代わり日本の免許証はとられるらしい)、わたしがフランスに来た当初はそのことを知らず、さらにセバさんの仕事でフランスに来てからわりとすぐにオランダにいったん引っ越してしまったりしていたためそれを完璧に逃がしてしまい、わたしはここで運転免許証がない。もしここで車を運転するためには、教習所に一から通って免許を取りなおさなくてはならないわけだ。
今までは都市に住んでいたため、車もとくに運転する必要はなかったのだが、この田舎にきてしまっては困る。と思っていたところ、なんとフランスでは50CCまでのバイクは免許なしで運転することができるらしいと耳にはさんだ。
そこでわたしは、とりあえずスクーターを手に入れることにしたのだった。

ナンシーの家を訪問してから翌々週、わたしが家の前で、ゴミ収集の箱を整理していると、道路からププー!とクラクションの音が聞こえた。
振り返ると、マーセルとその奥方が車でちょうど家に帰るところだった。おお、やっと退院して戻ってきたのかな?わたしは手を挙げて挨拶した。
そのすこしあと、こんどはでかいトラックがうちの前に停まった。どうやら注文していたバイクがやっと届いたらしい。
若い運転手は、電動クレーンを使ってなんとかトラックの荷台からバイクの入った大きな箱を降ろすことには成功したが、こんどはそれをうちの門のなかに運ぶ段になると根をあげた。これはひとりで運ぶには大きすぎる。わたしも手伝おうとしたが、女ひとりの力が加わっただけでは無理なよう。重い箱はびくともしない。
「誰か運ぶの手伝ってくれる人いませんかね?」と困り果てた運転手はぼやき、どうしたものかと思ったところ、あちらからちょうどよく誰かが歩いてくるのが見えた。助かった。
「マーセル!」わたしは叫んだ。


長い・・・また次回に続きますね;_;

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2009年10月15日

秋と空

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昨日の朝陽と、


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昨日の夕陽。


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夏場は9時過ぎまで明るかった空も、どんどんと日のでている時間は短くなり、朝も8時ごろまで暗くなってきました。


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天気のいい週末に来客があると、これまでは庭でバーベキューをしていましたが、先週からテーブルに延長コードをひっぱって、ラクレットに切りかえ。
ラクレットはチーズフォンデュのなんといったらいいか、じゃがいも版みたいなもの。チーズフォンデュやラクレットは、日本で冬に食べる鍋みたいな感じにとらえられているような気がします。みんなで食べやすく、手軽で、からだもあたたまります。チーズなのでちょっと重いですが。


うちでは先週から、オイルを使ったセントラルヒーティングのスイッチを入れました。昼はだいぶあたたかくなりますが、これからここでのはじめての冬、どうなるんだろうか、ちょっと心配、半分興味で日々の季節の移りかわりをみまもっているところです。


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朝わたしが起きると、お外・お外というリラさんですが、さすがに寒くてすぐに入ってくるようです。夏は夜もお外・お外といっておりましたが、最近ではヒーターの近くのあたたかい場所にいるようです。


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2009年10月12日

カンパーニュでは木が落ちる!

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前回の『赤いティーシャツのムッシュー、ちょっと家具と空 のつづきです。


ノルマンディーの家に引っ越してきてから、忘れもしない4日目の午後。真夏の暑く、晴れて風のない日だった。
外で、キ・キキー!ガリガリ と大きな音がする。すぐ近くで。
あまりに大きな音で、1分ほどつづいたため、窓から家の庭を見てみるが、特になにもみあたらない。田舎をしらないわたしには、はて?どこかに見しらぬ動物でもいるものか、と、音も鳴りやんだし、そんなに気にしないでいた。
夕方、シャワーを浴びていると、家の玄関がピンポ〜ン♪と鳴った。
2度、3度、しつこくチャイムが鳴るので、もしや・・・と思ってすこ〜しだけバスルームの窓を開けてみると、あらやっぱりお向かいの白髪ムッシュー。
「いまシャワー中ー!」と叫ぶと、
「○×△□××・・・」とムッシューも大きな声を出した。
聞こえないのでわたしはまた窓を閉めてシャワーのつづきをした。

シャワーを浴びおわってすこしあと、また家に来た白髪ムッシュー。
うちをノックしていた理由はなんと、
「きみの家の庭で木が倒れたよ」

木が倒れた?!
「もしかしてさっきの音ですか?」と聞くと、
「アーウィ。大きな音がしてたろう。あれは木が折れるときの音だよ」

わたしは東京生まれ、自国・フランス含め生まれてからこの方ずっと街中でしか生活したことのない人である。“木が倒れる”ということがどういうことかうまく想像できないまま、うちの門から庭へつづく小途をつかつかと歩いていくムッシューのあとにつづく。
うちの庭は正方形や長方形のかたちはしておらず、道路に面した家の側面、やはり道路沿いにまず庭がのび、そして家の裏手から庭がひろがり、そのふたつが途中でいっしょになるかたちをしている。
また、庭には石垣や段差があり、裏手のほうは奥にある川までつながっており、大きな木がぽつぽつとあるため、家の窓やまわりからぜんぶの庭を見わたすことができないのだ。


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道路に面してのびるほうの庭、この右手は大通り


庭の小途をとおって段差を降り、川へつづく草むらに足を踏みだした瞬間、わたしの目に大きな木が横になっているのが飛びこんできた!
しかもふたつ!
「ウー・ラ・ラ。セ・グラーブ。あらら、これは大変だ」
わたしは頭を、倒れた木がどのように落ちたのか、まるでパズルを組みあわせるようにいっしょうけんめい働かせているのだが、また「???」なままである。
ムッシューは説明してくれた。倒れた大きな木、幹は直径30センチはあるだろうか、それはうちの庭の木ではなく、隣の家の庭の木。しかしその隣の家の木がうちの庭に倒れたときに、ちょうどそこに生えていたやはりでかい柳の木にぶつかり、それを幹から折った。
そして、いま、わたしの目には、空を突き刺すようなするどい木の幹から突きでた肌、まだ下のほうに枝を残している木の幹がふたつ、見えているのだった。
「残念だな、隣の家はいまバカンスでいないからね。帰ってくるまで二週間」
庭は、倒れた木の大きな枝、それについた細い枝、細い枝についた葉っぱがひろがり、どんな自然災害があったの?状態になっている!そう、まるで雷が木のうえに落ちたときのようだ。
「ぼくは木を切る機械をもっているから、だんなさんを手伝うよ」
話によると、この白髪ムッシューは、この家の前の前の持ち主を友だちだったようで、わたしたちの家についていろいろなことを知っているよう。倒れた木のうしろに積み重なっている暖炉の薪用にきれいに切られた木は、彼が以前切ったそう。
木が倒れて庭が大変なことになっているのはとにかく驚くばかりだったが、このムッシューがいてくれると、なんとなく心強い気がしてきたわたしだったが、いやはや・・・。

まぁ、こんな感じに、うちの前の大通りをよく歩いているムッシュー。彼の家はうちの斜め左、家一軒分か二軒分離れているが、うちの正面も彼の家の敷地で、そこは、これまたムッシューが自分でつくったという、まるでビニールハウスのようにおおわれた室内プールになっている。
そのころにはわたしも(セバさんも)だんだん、このムッシューの口ぐせでもある、
『ジュ・コネ・トゥールモンド。ぼくはみんな知ってるからね』
というのをすんなりと信じるようになってきていた。
その週の日曜日には、近所まわりを開始しようとセバさんと、ケーキを持ってムッシューの家に挨拶に行った。白髪のムッシューは、名をマーセル、という。
彼はスペイン人の奥さんがおり、3人の子供たちはわたしたちと同じぐらいの年、すでにみな巣立ち、ふたりで今は広い家に住んでいるとのことだった。
スペイン人の奥さんは完璧なフランス語のアクセントで、とてもやさしい人だった。
いろいろな説明をうけたり(たとえばゴミの出し方だとか、近所はどういう人が住んでいるだとか)、「わたしたちはここに20年住んでいるから、困ったことやわからないことがあったらなんでも聞いてね」、「みんなの旅行時には、犬や猫にえさをあげたり、郵便ポストがいっぱいになってないかわたしたちはチェックするの」と奥さんも話し、はじめはびっくりしていたが、いい人たちなんだな、とわたしたちもほんとうに安心しはじめてきていた。

しかし、その白髪ムッシュー・マーセルはその日を境に、ぱったりと姿をみせなくなった。


次回に続きます。

posted by ナオカ at 16:36| Comment(4) | TrackBack(0) | フランス田舎生活あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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