隣人のマーセルの奥方・ペピタが、ランチに簡単なフランスの家庭料理をつくるというので、カメラを持って侵入してきました。

どんな料理ができるのでしょう。わくわく。
ポテトをつぶす専用の器具ははじめて見たぞ。
潰したじゃがいもに
creme fraiche 発酵クリームを加えています。このクリームは、それこそわたしたち日本人の醤油みたいなもの。フランス人家庭で料理をする際に欠かせない一品です。これに牛乳を足し、塩をふってから、

ペピタが取りだしたのはナツメグの実。これをほんの少し細かくして加えます。
加熱容器にできあがったじゃがいものピュレをしいていきます。
ペピタは子供のころにスペインから両親とともにフランスに移り住み、マーセルとの結婚を機に国籍をフランスに変えました。スペイン人だけど、教育のほとんどはフランスで受けたし、長いこと住んでいるのでもうほんとにフランス人みたいなものです。
そしてうらやましいことに、ペピタの家庭ではスペイン料理とフランス料理が並ぶ・・・うう、いいな。

ポトフをつくったときに残った牛肉を細かくして、ラードとタマネギであらかじめ炒めたものをピュレのうえに重ね、その上にまたピュレをしいて層にしていきます。

卵をひとつ溶いて、そのうえにエメンタールチーズの細切りをのせます。

オーブンに入りました。これでチーズが溶けて全体があたたまるまで加熱します。
15分から20分焼くと、
Hachis Parmentier ができあがりました。
Hachis Parmentier、Hachis は挽き肉の意、Parmentier はアントワーヌ・オーギュスト・パルマンティエという農学者の名前。この人は、じゃがいもをフランスの土地に合うように改良しフランスで栽培を広めた人だそうです。なので、いろいろなじゃがいもを使うフランスの料理にはParmentier の名前がそのままついていたりします。

できあがったお味は・・・
気取りのないやさしくまるい味で、ほんとに家庭的。ポトフの残りものという牛肉はいい感じにパラパラして干し肉のような感じも。
使っている調味料やクリームなどはほんとにふつうで安価なものなのですが、それでもこんなにおいしい。
うちの母の料理もおいしいものでしたが、知恵や長年の経験からきた腕は材料にまさる!と思ってしまいました。
おかわりもちゃっかりして、コーヒーをいただいたあと家に帰ると、

リラさんが袋のなかに入ってました。

今夜は寒くなりそうだね、リラさん