2005年12月08日

ダニーとの出会い Amsterdam

これは、前回の「ドイツからの一通のメール」の続きです。


ロンドンでは、街を歩きまわり、蚤の市をのぞいたりして3日間が終わった。

アムステルダムにむかう飛行機の窓から空をながめていると、曇っていた空がだんだん晴れていく。
今までずっと行ってみたいと思っていたオランダ。性に対しても、ドラッグに対しても規制のゆるいオランダは、とても自由なイメージだ。
オランダに近づくにつれて晴れてゆく空を見ていると、まだ見ぬオランダが、期待を裏切らずきっといいところだと確信した。

Amsterdam01.jpg


空港に着いたら、まずは今日の宿を確保しなければならない。ツーリスト・インフォメーションに行くと、そこの女性は小さいことですぐに笑う。なるべく安いホテルを、でも中心に近いところね、という無理な要望に、時間をかけながらもいいところを見つけてくれた。
アムステルダムは欧州最大のKLMオランダ航空の乗り継ぎ地。空港のなかはたくさんの店とレストランと、それにバーもある。
空港内にすてきなバーがあるなんて信じられない。こんなところははじめてだ。
スーツケースを押し、広い空港を、電車の駅に向かって歩いていくと、オープンになっているバーの前に “グロールシュ”のマークが見えた。
グロールシュはオランダのビール、東京でもよく飲んでいたわたしの最も好きな銘柄だ。グロールシュが生が飲めるなんて!わたしはうれしくなり、オランダに着いたことを祝うべくバーに寄ることにした。
バーの中は、まだ明るい夕方だというのに人でいっぱい。空いている席がなかなかなさそう。見まわしていると、ひとつ、みえた。
その席は、小さいカウンターになっていて、背の高いスツールがおいてある。空いている真向かいにはすでに誰かが座っているよう。でも選択の余地はない。誰にもとられないように、早足でまっすぐ歩く。スーツケースをたてかけ、“ここ座っていいですか?”と、先にいた客に言おうとした。「もちろん」 すぐに返事がきた。
はっと見ると、切れ長に青い目の男。短髪で色がとても白く、今まで見てきた西欧人と感じがちがう。つるっとした顔のなかにも芯の強さがあるような、細いからだの線のなかに男っぽいたくましさが見える。わたしはグロールシュの生を片手に一瞬かたまった。
「旅行?」 男は聞いた。
「うん」
「オランダははじめて?」
「はじめて!」
男は、アムステルダムに着いて浮き浮きしているわたしにつられたのか、はじめはクールな顔をしていたのに、打ち解けてきたらいたずらっぽく笑う。
KLM、と書かれたブルゾンを着ている。聞いてみると、KLMカーゴ(貨物)で働いている人だった。
オランダに着いて、大好きなビールを飲んで、これからの数日にわくわくしていたところに、フレンドリーなオランダ人と立てつづけに話す。ほんとにこの国、いいかもしれない!
男はダニーといった。何歳か、という話をしていたら、「30。先月30になっちゃったんだよなぁ」と残念そうにいう。
「きみは?」
「27歳」
ダニーはよしよし、というようにうなづいた。
「俺ね、思うんだけど、女の人は30過ぎてからがかっこいいと思うよ」
「ほんと?」
「うん。なんかね、内側から出てくるんだ、生き方みたいなものがさ。あ、色気かもしれない」
そういってダニーはくっくと笑う。
わたしは彼の左手の薬指の指輪を見ながら言った。
「結婚してるんだね。いいねぇ」
「いいのかなぁ。子供もいるんだぜ。今2才」
彼はそう言ってまたさきほどと同じような冴えない顔をした。なんだかうれしくないみたいだ。
「いいことだよ。だって結婚したってことはさ、本当の相手にめぐりあえたってことじゃない」
「でもさぁ・・・」ダニーは頭の中でなにか考えているようだった。
「英語ではベター・ハーフって言うじゃない。“自分のよりよい半分”ってすごくいい言葉だよね」
「うーん」ダニーの顔は浮かない。
「あのさ、LoveとLikeってあるじゃない。Loveはひとつかもしれないけど、Likeはわたし、いっぱいもってるよ」
そう言うと、
「そっか。・・・そうか!」それまで曇っていたダニーの目が突然かがやいた。
「そうだよ!」
彼は、Likeという言葉が気に入ったようだった。

ふたりで話していると、ダニーの同僚という男がやってきた。アラブ系で、名をカルロスといった。
3人でビールを飲み、ダニーはカルロスになにかオランダ語で話していた。
「こいつが、きみをホテルまで連れてってくれるから」
「いいよいいよ、そんな」
「荷物も重いしさ、こいつが行けばすぐに場所みつかるから」
ダニーの好意に感謝した。
彼は、ICQという、今でいえばMSNのメッセンジャーのようなチャットソフトを使っていると言った。わたしもそのころICQを使っていたので、お互いにIDを交換した。

30分ほど話したころだろうか。三人で席をたつ。店を出て、電車のホームに降りるエスカレーターのところまでくると、
「ICQですぐメッセージ送っておくから!」ダニーはそう言い、
突然わたしの首を手でぐいっと引きよせぎゅううっとわたしを抱きしめた。そして耳元でこうささやいた。
「I like you!You’re a special woman. It’s so nice to meet you!!」
びっくりした。久しぶりに、人と本当につながる感覚。こんなに素直にまっすぐとこころに響く言葉ってあまりない。それだけじゃない、ぎゅっとされてI like you!と言われたら、こころまでぎゅうっとされた気がした。

空港からホテルに行く電車のなかで、横にいるカルロスがなにか話しているがまったく頭に入ってこない。今別れた、はじめて出会ったオランダ人、ダニーのことが頭をめぐっていた。

続き「逃げてドイツへ」
posted by ナオカ at 00:41| Comment(7) | TrackBack(0) | 恋愛など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わ〜、どんなお話が続くんだろう!毎度ながらドキドキです☆★
旅先のそういう出会い、ステキですよね!!
オランダ、どんな国なんだろう…みんな背が高そうだな(笑)
Posted by りゃむ at 2005年12月08日 02:41
もー、Naocaちゃんったら毎回私をドキドキさせてくれるストーリー。
こないだBefore Sunrise と Before Sunset を立て続けに観たのもあって、なんかヨーロッパに行きたくなっちゃった。

ランキングクリックしたよ♪
Posted by Yukko at 2005年12月08日 08:54
あー思い出したーオランダの彼ってこの彼だったのね。こんな素敵な出会いなら恋に落ちるわなー。きみはすごいね、しかし。
Posted by YOKO at 2005年12月08日 09:54
ねいさま、本当に恋多き方ですね^^
いいなあ〜美しいですし、ねいさま・・・
私には”にーはお”等の野次しか飛んできません^^;;;;

私も密かに毎日応援クリックしてますよ♪目指せ1位!!!!



Posted by ぶるう at 2005年12月08日 10:07
旅の出会いなんて素敵ですね!!
しかもいきなり、Ilike you なんて(><)私なら完敗です笑。
続きが楽しみです♪
Posted by grazie at 2005年12月08日 19:55
ナオカさん、こんばんは。
旅先の出会い、憧れます。
私はナオカ様のように美しくないので
そのようなことは訪れないと思いますが
パリ旅行の時は密かに期待したりしてました。
当然、ありませんでしたが(笑)

続き、楽しみにしてます!
Posted by koatorugorado at 2005年12月08日 22:45
▽りゃむさん
こんにちは〜^^
オランダって、切れ長の目の人が多い気がしますねぇ。
あと、男の人は、男っぽいタイプ(引っぱっていく感じ?)が多い気がするなぁ。けっこう強いというか。

▽Yukkoちゃん
Yukkoちゃん、ほんとにヨーロッパに来てほしいよ〜特にパリ!!
応援クリックありがとう^^

▽YOKO
そうそう、あのオランダの彼だよ〜。
ようこに相談したの覚えてる(笑)。ようこの答えが的を得てて、すごいなと思ったんだよなぁ。

▽ぶるうさん
「ぶるう」さんになったんですね^^;;;;
わたしの場合、「恋多き」というよりも「失恋多き」ですね^^;;;; ←自慢にならない

▽grazieさん
>しかもいきなり、Ilike you なんて(><)私なら完敗です笑。

わたしも完敗完敗(笑)
自分もあまり考えずに前は簡単に使ってたんですよね、Likeって。
でももうちょっと考えて使わないといけないのかも!

▽koatorugoradoさん
もしかして、koatorugoradoさんが近寄りがたいオーラを発してしまってたのかもしれないですね。
にこにこして歩いてたらきっと話しかけられます、パリだったら・・・(って勧めてますね^^;;
Posted by ナオカ at 2005年12月09日 01:31
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