2009年10月12日

カンパーニュでは木が落ちる!

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前回の『赤いティーシャツのムッシュー、ちょっと家具と空 のつづきです。


ノルマンディーの家に引っ越してきてから、忘れもしない4日目の午後。真夏の暑く、晴れて風のない日だった。
外で、キ・キキー!ガリガリ と大きな音がする。すぐ近くで。
あまりに大きな音で、1分ほどつづいたため、窓から家の庭を見てみるが、特になにもみあたらない。田舎をしらないわたしには、はて?どこかに見しらぬ動物でもいるものか、と、音も鳴りやんだし、そんなに気にしないでいた。
夕方、シャワーを浴びていると、家の玄関がピンポ〜ン♪と鳴った。
2度、3度、しつこくチャイムが鳴るので、もしや・・・と思ってすこ〜しだけバスルームの窓を開けてみると、あらやっぱりお向かいの白髪ムッシュー。
「いまシャワー中ー!」と叫ぶと、
「○×△□××・・・」とムッシューも大きな声を出した。
聞こえないのでわたしはまた窓を閉めてシャワーのつづきをした。

シャワーを浴びおわってすこしあと、また家に来た白髪ムッシュー。
うちをノックしていた理由はなんと、
「きみの家の庭で木が倒れたよ」

木が倒れた?!
「もしかしてさっきの音ですか?」と聞くと、
「アーウィ。大きな音がしてたろう。あれは木が折れるときの音だよ」

わたしは東京生まれ、自国・フランス含め生まれてからこの方ずっと街中でしか生活したことのない人である。“木が倒れる”ということがどういうことかうまく想像できないまま、うちの門から庭へつづく小途をつかつかと歩いていくムッシューのあとにつづく。
うちの庭は正方形や長方形のかたちはしておらず、道路に面した家の側面、やはり道路沿いにまず庭がのび、そして家の裏手から庭がひろがり、そのふたつが途中でいっしょになるかたちをしている。
また、庭には石垣や段差があり、裏手のほうは奥にある川までつながっており、大きな木がぽつぽつとあるため、家の窓やまわりからぜんぶの庭を見わたすことができないのだ。


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道路に面してのびるほうの庭、この右手は大通り


庭の小途をとおって段差を降り、川へつづく草むらに足を踏みだした瞬間、わたしの目に大きな木が横になっているのが飛びこんできた!
しかもふたつ!
「ウー・ラ・ラ。セ・グラーブ。あらら、これは大変だ」
わたしは頭を、倒れた木がどのように落ちたのか、まるでパズルを組みあわせるようにいっしょうけんめい働かせているのだが、また「???」なままである。
ムッシューは説明してくれた。倒れた大きな木、幹は直径30センチはあるだろうか、それはうちの庭の木ではなく、隣の家の庭の木。しかしその隣の家の木がうちの庭に倒れたときに、ちょうどそこに生えていたやはりでかい柳の木にぶつかり、それを幹から折った。
そして、いま、わたしの目には、空を突き刺すようなするどい木の幹から突きでた肌、まだ下のほうに枝を残している木の幹がふたつ、見えているのだった。
「残念だな、隣の家はいまバカンスでいないからね。帰ってくるまで二週間」
庭は、倒れた木の大きな枝、それについた細い枝、細い枝についた葉っぱがひろがり、どんな自然災害があったの?状態になっている!そう、まるで雷が木のうえに落ちたときのようだ。
「ぼくは木を切る機械をもっているから、だんなさんを手伝うよ」
話によると、この白髪ムッシューは、この家の前の前の持ち主を友だちだったようで、わたしたちの家についていろいろなことを知っているよう。倒れた木のうしろに積み重なっている暖炉の薪用にきれいに切られた木は、彼が以前切ったそう。
木が倒れて庭が大変なことになっているのはとにかく驚くばかりだったが、このムッシューがいてくれると、なんとなく心強い気がしてきたわたしだったが、いやはや・・・。

まぁ、こんな感じに、うちの前の大通りをよく歩いているムッシュー。彼の家はうちの斜め左、家一軒分か二軒分離れているが、うちの正面も彼の家の敷地で、そこは、これまたムッシューが自分でつくったという、まるでビニールハウスのようにおおわれた室内プールになっている。
そのころにはわたしも(セバさんも)だんだん、このムッシューの口ぐせでもある、
『ジュ・コネ・トゥールモンド。ぼくはみんな知ってるからね』
というのをすんなりと信じるようになってきていた。
その週の日曜日には、近所まわりを開始しようとセバさんと、ケーキを持ってムッシューの家に挨拶に行った。白髪のムッシューは、名をマーセル、という。
彼はスペイン人の奥さんがおり、3人の子供たちはわたしたちと同じぐらいの年、すでにみな巣立ち、ふたりで今は広い家に住んでいるとのことだった。
スペイン人の奥さんは完璧なフランス語のアクセントで、とてもやさしい人だった。
いろいろな説明をうけたり(たとえばゴミの出し方だとか、近所はどういう人が住んでいるだとか)、「わたしたちはここに20年住んでいるから、困ったことやわからないことがあったらなんでも聞いてね」、「みんなの旅行時には、犬や猫にえさをあげたり、郵便ポストがいっぱいになってないかわたしたちはチェックするの」と奥さんも話し、はじめはびっくりしていたが、いい人たちなんだな、とわたしたちもほんとうに安心しはじめてきていた。

しかし、その白髪ムッシュー・マーセルはその日を境に、ぱったりと姿をみせなくなった。


次回に続きます。

posted by ナオカ at 16:36| Comment(4) | TrackBack(0) | フランス田舎生活あれこれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです。

ノルマンディの家、素晴らしいですね…
実は私もずっとノルマンディ(イヴェリンの隣感覚で)の古い家屋に興味があり、何軒か好みのステキな家があり、その内一つは川の流れる家でした…まさかあの物件では…??笑
私達は残念ながら当分ヴェルサイユから出れそうにも無いので、羨ましく拝見させてもらっています。

ムッシュー・マーセル、どうしたんですか?
それが凄く気になっちゃいました…。
Posted by bio at 2009年10月14日 05:29
興味津々です・
白髭ムッシュは・・・・?
何がっ・・・・・!

そして、リラさんはっ!
Posted by Izu at 2009年10月15日 11:04
▽bioさん
イヴェリンの感覚で・・・そうですよね。うちの隣近所でも、イヴェリンからここに引っ越してきたってひとがとても多いんですよ。・・・パリジャンで、ここをセカンドハウスにしている人もいますが。うらやましい。笑
イヴェリンのお隣なので、天気とかは変わらないのですが、冬は凍結とかあると聞いていまからちょっと震えてます。
わたしはフランスに越してきてから3年パリ、その後2年イヴェリンに住みました。だんだんと西にきているわけですが、5年首都圏に住んだことはよかったと思ってます。
いつかbioさんもノルマンドになるのかな?!ちょっと楽しみです☆
Posted by ▽bioさん at 2009年10月15日 15:11
▽Izuさん
Izuさん、こんにちは。
白髪・白髭ムッシューの話はまた書きますね^_^
寒がりリラさんはお外の虫よりもあたたかいほうが大事らしく、いまは朝8時ですがわたしの膝のうえで寝てます-_-;
札幌もきっとここと同じぐらい寒いんだろうな。リラさんはここに慣れたら北海道にも住めるようになるかな?笑
Posted by ▽Izuさん at 2009年10月15日 15:14
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